さつま福永牛とは?A5ランク黒毛和牛が生まれる福永畜産の秘密

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「鹿児島の黒毛和牛といえば?」と聞かれて、多くの人が思い浮かべるのは「かごしま黒牛」。

中でも、天文館の熟成焼肉専門店Gyudo!で提供されるさつま福永牛の肉の秘密は、鹿児島県さつま町にある福永畜産の独自の取り組みにあった。

さつま福永牛とは?基本情報

ブランドの定義

さつま福永牛は、鹿児島県薩摩郡さつま町の福永畜産が、繁殖から肥育、出荷まで一貫して育てる黒毛和牛のブランド名です。

主な特徴:

  • 等級: A5ランクを中心とした最高級黒毛和牛(A5等級出荷率80%以上)
  • 飼育頭数: 約1,800頭
  • 飼育方法: 独自の「炊き餌」方式
  • 管理体制: 繁殖・肥育・出荷・加工販売の一貫体制

なぜ「さつま」なのか?

鹿児島県さつま町は、ホタルが群生するほど水が清らかで、豊かな自然に恵まれた地域。この恵まれた環境で育てられることから「さつま福永牛」と名付けられました。

町の名前を冠することで、地域への誇りと責任感を表しています。

福永畜産の歴史と哲学

三代続く、牛への情熱

福永畜産の歴史は、良質な系統和牛生産への情熱から始まりました。

沿革:

  • 創業: 良質な系統和牛生産に取り組む
  • 2000年: 三代目就任を機に有限会社福永畜産を設立
  • 2012年: 直営焼肉店「Gyudo!」を鹿児島天文館にオープン
  • 2020年: オンラインショップ強化、精肉販売開始

創業者の想い

福永畜産代表・福永充氏が掲げる理念は明確です。

「自分でつくったものは、自分で売りたい。直接、消費者の方へ販売したい」

この想いが、牧場から食卓までの一貫体制を生み出し、Gyudo!という直営店の誕生につながりました。手塩にかけて育てた牛肉を、一番美味しい形でお届けし、余すことなく召し上がっていただきたい――それが福永畜産のすべての原点です。

さつま福永牛の味の秘密

特徴1:口の中でとろける良質な脂

さつま福永牛の最大の特徴は、脂肪の融点が低いこと。口に入れた瞬間にとろける、まさに「とろける」という表現がぴったりの食感です。

科学的根拠:

  • オレイン酸を含むMUFA(一価不飽和脂肪酸)の割合が非常に高い
  • 融点が人間の体温よりも低いため、口の中で溶ける
  • 数々のコンテストでトップクラスの評価

この良質な脂は、独自の飼育方法によって生み出されています。

特徴2:きめ細やかな肉質

きめが細かく、繊維が緻密。これにより、柔らかさと同時に肉本来の旨味がしっかりと感じられます。

「噛むたびに旨味が口の中に広がる」――Gyudo!のお客様からよく聞かれる感想です。

特徴3:甘みのある深い味わい

さつま福永牛の味わいは、甘みが際立っています。これは脂の質の良さと、飼料へのこだわりが生み出す独特の風味です。

福永畜産の独自技術

1. 「炊き餌」という昔ながらの手法

福永畜産の最大の特徴は、炊いた餌を与えるという独特な飼育方法です。

炊き餌とは:

  • 穀物を独自の配合でブレンド
  • 熱を加えて炊き上げる
  • 牛の消化に優しく、栄養吸収が良い
  • 手間がかかるため、他の畜産農家が避けがちな方法

「炊き餌は消化が良く、牛の体に優しい。そして何より、肉質が格段に良くなるんです」

この手間を惜しまない姿勢が、さつま福永牛の品質を支えています。

2. 音楽が流れる牛舎

福永畜産の牛舎には、常にジャズやクラシック音楽が流れています。

音楽の効果:

  • 牛のストレスを軽減
  • リラックスした環境で育てる
  • ストレスが少ないと肉質が良くなる

床には、こまめに入れ替えられたフカフカのおがくずが敷かれ、牛たちは快適な環境でのびのびと育てられています。まさに「牛ファースト」の精神です。

3. ICT技術による徹底管理

現代の牧場経営は、テクノロジーなしには語れません。福永畜産では、ほぼすべての牛にICTセンサーを装着し、データで管理しています。

管理項目:

  • 体温の変化
  • 活動量
  • 餌の食べ具合
  • 異常行動の早期発見

注目すべきは、現場スタッフだけでなく、事務所の事務スタッフもデータをチェックし、情報を共有していること。これにより、ヌケモレのない細やかな管理を実現しています。

4. 厳選された血統管理

福永畜産では、厳選された黒毛和牛の血統にこだわっています。

良質な系統和牛生産に取り組み、一頭一頭の血統を管理。優れた遺伝子を持つ牛を選び、より良い牛づくりを追求し続けています。

日本一に輝いた実績

全国肉用牛枝肉共励会で最高賞

2013年、さつま福永牛は「全国肉用牛枝肉共励会」で最高賞(日本一)を獲得しました。

この共励会は、畜産農家が一度は取りたいと願う権威ある賞。福永畜産の技術と情熱が、全国で認められた瞬間でした。

名誉賞も受賞

その他にも、数々の受賞歴を誇ります。

「共励会で賞をとることが目標です。そして消費者へ『おいしい』と言ってもらえること。この2つを胸に、日々励んでいます」

福永畜産のスタッフのこの言葉に、品質への真摯な姿勢が表れています。

一貫体制だからできること

繁殖から販売まで、すべて自社で

福永畜産の大きな強みは、繁殖・哺育・育成・肥育・出荷・加工販売まで、すべてを一貫して行っていることです。

一貫体制のメリット:

  1. 品質の一貫管理: すべての工程を自社で管理できる
  2. トレーサビリティ: 牛の生涯を完全に把握
  3. 柔軟な対応: 顧客ニーズに迅速に対応可能
  4. コスト最適化: 中間マージンがない

「牧草の収穫から始まって、子牛の誕生、育成、そして出荷まで。すべてを自分たちの目で見て、管理できる。これが品質の安定につながっています」

牧場直営レストランの強み

2012年にオープンした直営焼肉店「Gyudo!」では、さつま福永牛を余すことなく、最高の形で提供しています。

直営店のメリット:

  • 牧場から直送の新鮮な肉
  • 希少部位も提供可能
  • 一頭買いならではの部位バリエーション
  • フィードバックを牧場にすぐ反映

「牧場直営だからこそ、希少部位も含めて一頭を丸ごと活用できます。お客様には、普段食べられない部位も楽しんでいただいています」

Gyudo!本店の前迫店長の言葉には、福永畜産との強い絆が感じられます。

ホタルが舞う、水の里「さつま」の環境

清らかな水が育む美味しさ

さつま町は、鹿児島県北部に位置する自然豊かな地域。清流に恵まれ、初夏にはホタルが乱舞する美しい環境です。

「牛にとって水は命です。さつま町の水は本当に美味しい。この水で育った牛は、肉質も違ってきます」

前迫店長が牧場を訪れるたびに感じるのは、この恵まれた自然環境への感謝だといいます。

温暖な気候と豊かな自然

鹿児島の特性:

  • 温暖な気候で牛の育成に適している
  • 豊富な降雨量で牧草が良く育つ
  • 桜島の火山灰土壌がミネラル豊富な環境を作る

この自然の恵みが、さつま福永牛の味わいを支えています。

他のブランド牛との違い

vs 鹿児島黒牛

鹿児島県全体のブランド「鹿児島黒牛」に対し、さつま福永牛は福永畜産だけが生産する独自ブランド

差別化ポイント:

  • 独自の炊き餌飼育法
  • 一貫した品質管理体制
  • ICT技術による徹底管理
  • 直営店での提供

vs 他県の有名ブランド牛

さつま福永牛の独自性:

  • オレイン酸含有量の高さ
  • 南国の気候を活かした飼育
  • 音楽を聴かせる環境
  • 牧場から食卓までの完全トレーサビリティ

Gyudo!で味わう、最高の形

50日間熟成という付加価値

Gyudo!では、さつま福永牛をさらに50日間熟成させています。

熟成による変化:

  • 旨味成分(アミノ酸)が増加
  • 肉質が柔らかくなる
  • 独特の風味が加わる
  • 甘みが増す

「初めてさつま福永牛を食べた時の衝撃は忘れられません。さらに50日間熟成させると、別次元の味わいになる。それ以来、この肉の魅力を伝えることが私の使命だと思っています」

前迫店長の情熱が、さつま福永牛の魅力を最大限に引き出しています。

岩塩とわさびで

Gyudo!では、熟成させたさつま福永牛を岩塩とわさびだけで味わうことを推奨しています。

「余計な調味料は必要ありません。シンプルに、肉本来の味を楽しんでいただきたいんです」

このシンプルさこそが、さつま福永牛の品質への自信の表れです。

コロナ禍を乗り越えた挑戦

オンライン販売への挑戦

2020年、新型コロナウイルスの影響で、直営飲食店2店舗が閉店を余儀なくされました。厳しい状況の中、福永畜産が取った行動は、オンラインショップの強化でした。

「非接触型の売り方に力を入れました。おかげさまでオンラインショップは多くのお客様にご好評いただき、コロナ禍を乗り切ることができました」

「和牛の道の駅」構想

2020年には、福永畜産店舗での小売・卸売もスタート。「和牛の道の駅」というキャッチコピーで、地元に根付いた「さつま福永牛」の安定供給に取り組んでいます。

若手が活躍する、チームの力

風通しの良い職場環境

福永畜産の魅力は、若いスタッフが多く、チームワークが良いこと。

「社長や上司も気軽に声をかけてくれるので、ワイワイ話すのがとても楽しいです。実家が種子島で繁殖農家をしているので、ここでたくさん勉強して、ゆくゆくは祖父にも認められる牛飼いになることが僕の夢です」

若手スタッフのこの言葉に、福永畜産の明るい未来が見えます。

さらなる品質向上を目指して

「今でも十分おいしい『さつま福永牛』ですが、さらなる品質向上を目指して、社長をはじめ現場スタッフは研究と改善に取り組んでいます」

血統、餌、環境など様々な要因が肉質に影響する。奥深い畜産業において、常に探究心を持って改善を続ける――それが福永畜産のDNAです。

瞬間冷凍で鮮度そのまま、全国へお届けしています。

まとめ:なぜさつま福永牛なのか?

さつま福永牛が選ばれる理由をまとめると:

1. 独自の飼育方法

  • 炊き餌という手間を惜しまない愛情
  • 音楽が流れる快適な環境
  • ICT技術による徹底管理

2. 確かな品質

  • 全国肉用牛枝肉共励会で日本一
  • A5ランクを中心とした最高級黒毛和牛
  • オレイン酸豊富なとろける脂

3. 一貫体制の安心感

  • 繁殖から販売まで自社で完結
  • 完全なトレーサビリティ
  • 牧場直営ならではの新鮮さ

4. 作り手の想い

  • 三代続く牛への情熱
  • 「自分で作ったものは自分で売る」というこだわり
  • 常に品質向上を目指す探究心

天文館のGyudo!で、ぜひこの「さつま福永牛」の魅力を体感してください。50日間熟成させた至高の味わいが、あなたを待っています。


さつま福永牛を味わうなら

熟成焼肉Gyudo!本店 住所:鹿児島県鹿児島市東千石町12-13 村山ビル1階 TEL:099-223-2044 営業時間:ランチ 平日11:30-14:30、土日祝11:30-15:00 / ディナー 17:30-23:00(金土祝前日は24:00まで) 定休日:無休

Gyudo!本店オンライン予約

この記事を書いた人
福永

福永(株式会社牛道役員) 1級フードアナリスト・管理栄養士・日本箸教育講師・25年間の学校栄養教諭経験を経て、食品安全管理の知識と、現在の食肉業界での実務経験を活かし、消費者の皆様に安心・安全な食品選択のための情報を提供している。

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