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6次化産業という選択――なぜ福永畜産は「売る」ことまで自分でやるのか

6次化産業という選択――なぜ福永畜産は「売る」ことまで自分でやるのか|さつま福永牛
福永畜産 3代目の選択
育てた牛が、誰の手を経て、
いくらで売られているか。
生産者が知らないのが、
この業界の長い慣習だった。

「牛肉の生産者の手元に届くのは、小売価格のわずか15〜20%」——この数字を初めて聞いたとき、どう思いますか。

育て、世話をし、何年もかけて出荷した牛が、いくらで食べられているかを知らない。どこのレストランで、どんな人の手で調理されているかも知らない。それが、長年の畜産業界の構造でした。

福永畜産の3代目・福永充氏が「売るところまで自分でやろう」と決めたのは、この現実と向き合ったからです。

畜産業界の不都合な現実
15
〜 20 %
生産者の手元に残るのは、小売価格のわずかこれだけ。
残りの80〜85%は、加工・物流・卸・小売の各段階で消えていきます。品質を上げるための投資をしても、それが価格に反映されるとは限らない構造が、長年続いてきました。

これは福永畜産だけの話ではありません。日本の畜産農家の多くが、この構造の中で長年生産を続けてきました。「いい牛を育てれば、ちゃんと評価される」——そう信じたくても、評価の仕組みが追いついていない現実があります。

「6次化産業」とは何か

🔢

6次化産業(農業の6次産業化)

1次産業(生産)× 2次産業(加工)× 3次産業(販売・サービス)= 6次

農業や畜産業(1次産業)が、加工(2次産業)と販売・飲食(3次産業)まで一体で手がけることを「6次化」といいます。1×2×3=6という掛け算から来ています。それぞれを別の会社が担うのではなく、すべてを自分たちでやることで、品質の一貫管理と適正な利益の確保を目指します。

1次
生産
繁殖・肥育
×
2次
加工
食肉処理・カット
×
3次
販売
通販・飲食店

流通に何段階かかると、何が起きるのか

和牛 小売価格1万円の「行方」イメージ比較

一般的な流通ルート(生産者→卸→小売→消費者) 生産者:約15〜20%
生産者
加工・物流
卸・仲介
小売・EC手数料
福永畜産の6次化ルート(生産者→消費者へ直送) 生産者:約50〜60%
福永畜産(生産〜加工〜販売)
配送コスト
通販手数料等

※ あくまでイメージ図です。実際のコスト配分は商品・流通形態によって異なります。
中間コストが減った分は、品質向上への投資と、消費者への適正価格還元に使われています。

「牧場直営だから安い」というより、「中間コストをかけない分、品質と価格の両方を正直にできる」ということです。流通段階が増えるほど、生産者は価格を下げるか品質を下げるかの二択を迫られます。その圧力から自由になることが、6次化の本質です。

福永畜産が手がける、6つのステージ

1次
🐄
繁殖——どの命を生むかを、自分たちで決める

繁殖牛約450頭を管理し、血統の選択から交配まで自社で手がけます。「どの牛を親にするかが、10年後の肉質を決める」という考えのもと、品質の根本を自分たちでコントロールします。

1次
🌾
肥育——ジャズが流れる牛舎で、炊いた餌を

肥育牛約1,100頭。牛舎ではジャズやクラシックを流し、センサー付き首輪でICT管理。蒸し穀物による「炊き餌」という独自製法で、MUFA値62%・融点13℃という数字を作り出します。

→ 9割がA4等級以上という安定した品質
2次
🔪
加工——カット直後に瞬間冷凍する、という約束

食肉処理からカット・冷凍まで一貫して管理します。カット直後に瞬間冷凍することで、切りたての状態がそのまま閉じ込められます。スーパーで冷蔵のまま数日間並んでいる肉より、劣化が少ない状態でお届けできるのは、この工程があるからです。

3次
🛒
通販——誰が買うかを、自分たちで見る

牧場直営のオンラインショップで全国に届けます。どんな人が、何のために、どの部位を選んでいるか。その情報が直接牧場に届くことで、次の生産に活かされます。

3次
🍖
飲食——自分たちで焼いて、自分たちで確かめる

熟成焼肉「Gyudo」(鹿児島・天文館)を運営します。生産した肉を自分たちで調理して出すことで、「食べた人の顔が見える」生産が実現します。「どう焼いたら一番おいしいか」を知っている生産者は、そう多くありません。

循環
♻️
循環——牛の堆肥が、田んぼを育て、また牛に返る

牛の排泄物は良質な堆肥となり、地元農家の田んぼを豊かにします。その田んぼで育った稲が、また牛の飼料になる。さつま町の里山で、食の循環が静かに続いています。

なぜ、そこまでやるのか

「売るところまでやらないと、わからない」

👁️
品質の「結果」を、自分の目で確かめたかった

どれだけいい牛を育てても、流通に出してしまえば「どこで、誰が、どう食べたか」がわからない。それが長年のもどかしさでした。飲食店を運営し、通販で直接届けることで初めて、「この牛はこういう食べ方が合う」「この部位はこの調理法でより輝く」という情報が牧場に戻ってくるようになりました。

「食べた人の顔が見えると、次に育てる牛の基準が変わる」
💴
品質に投資した分が、価格に返ってこない構造を変えたかった

MUFA値を高めるための飼料開発、ICT管理のための設備投資、炊き餌のための手間——これらはすべてコストです。しかし流通を通すと、そのコストが小売価格に正直に反映されるとは限りません。直販することで、「なぜこの価格なのか」を消費者に直接説明できるようになります。

「値段の根拠を、自分の言葉で話せる場所が必要だった」
🌱
さつま町を、一緒に育てていきたかった

福永畜産の売上は、地域の農家・スタッフ・教育・スポーツ振興に循環していきます。牧場が元気であることが、さつま町が元気であることにつながる。それは「事業」ではなく「地域への約束」だと、3代目は考えています。

「この牛を買うことは、さつま町の未来に投票することだ」
さつま町の循環

牛を育てることが、里山を育てることになる。

牛を育てる
堆肥が生まれる
田んぼが豊かになる
稲が育つ
牛の飼料になる
また牛を育てる
太陽光発電の導入、後継者育成、耕畜連携——
さつま福永牛の一頭一頭が、この循環を支えています。
あなたの購入が、つながっていること
さつま福永牛を選ぶことは、
単においしい肉を買う以上のことです。
生産者の取り分が適正に確保され、品質向上への投資が続けられます
さつま町の農家・スタッフ・地域経済が循環します
牛の堆肥で豊かになった田んぼが、次の世代の食を支えます
「食べた人の顔が見える」生産という、日本の畜産の新しい形を応援することになります
育てる。加工する。届ける。焼く。食べた人の声を聞く。また育てる——この一連を自分たちでやることが、福永畜産の6次化です。それは効率の話ではなく、「自分が育てた牛が、誰かの大切な夜に出てほしい」という気持ちから始まった選択でした。

繁殖から育成・加工・販売まで、すべて自分たちの手で。
カット直後に瞬間冷凍。切りたての状態で、全国へ。
あなたの食卓が、さつま町とつながっています。

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さつま福永牛 公式オンラインショップ  |  satsuma-fukunaga.raku-uru.jp

  • この記事を書いた人

gyudo-fukunaga

福永(株式会社牛道役員) 1級フードアナリスト・管理栄養士・日本箸教育講師・25年間の学校栄養教諭経験を経て、食品安全管理の知識と、現在の食肉業界での実務経験を活かし、消費者の皆様に安心・安全な食品選択のための情報を提供している。

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