福永畜産について

鹿児島の牧場直営店だから見せられる『肉の話』。産地の生産者がSNSで発信できない本音を記事にした

毎年この時期になると、鹿児島の農業関係者のあいだでは「今年の出来はどうか」という話題がよく出ます。稲作でも畑作でも畜産でも、一年を通じた気候や飼料の状況が、最終的な品質に直結するからです。牛を育てることも、まったく同じです。

こんにちは。さつま福永牧場直営、熟成焼肉Gyudo!の福永です。

普段、私たちはSNSで牧場の日常や料理の写真を投稿しています。でも正直なところ、SNSには載せにくいこと、載せても伝わりきらないことが山ほどあります。今回は、そういう「本音の話」を記事という形でまとめてみました。牧場直営の店だからこそ語れる、肉の裏側の話です。

こんな方におすすめ

  • ✅ 「なぜさつま福永牛が美味しいのか」その理由を知りたい方
  • ✅ 生産者の視点から和牛の品質を理解したい方
  • ✅ 鹿児島の食文化・畜産の現場に興味がある方
  • ✅ ギフトや接待に使う和牛を選ぶ根拠がほしい方
  • ✅ 天文館エリアで「語れる食体験」を探している方
鹿児島の牧場直営店だから見せられる『肉の話』。産地の生産者がSNSで発信できない本音を記事にした | さつま福永牧場直営ギュウドウ 熟成焼肉 Gyu do!(ギュウドウ)本店 個室焼肉 牛道はなれ

SNSの写真では伝えられない、牛の「育ち方」の話

牧場のSNSには、子牛の愛らしい写真や、広大な牛舎の風景を投稿することがよくあります。反応もよく、多くの方に喜んでいただける。でも、私がどうしても一枚の写真に込められないのが「なぜこの牛がおいしいのか」というプロセスの話です。

さつま福永牛の脂の融点は13℃です。和牛の平均が15〜20℃と言われているので、これがどれほど低い数値かが伝わるでしょうか。融点が低いということは、口の中に入れた瞬間に脂がさっと溶けるということ。あの「くどくない霜降り」の正体はここにあります。

この数値を実現しているのは、飼料設計と飼育環境の積み重ねです。地元農家産のワラや牧草を中心に使い、肥育後期には大豆や米ぬかを蒸してつくる「炊き餌」を給与します。単純にいい飼料を与えればいい、という話ではなく、時期・量・バランスが牛の体質をつくっていくのです。こういうことは、一枚の写真ではとても説明できません。

もうひとつ、私が大切にしているのがアニマルウェルフェアの考え方です。牛舎ではジャズやクラシック音楽を流しています。「牛に音楽?」と笑われることもありますが、ストレスを減らした環境での飼育が肉質に影響することは、私自身の34年の業界経験と数値で確認しています。ICTセンサー付きの首輪で牛一頭ずつの体調を管理する仕組みも導入しました。A4等級以上9割という安定した品質は、こういった地味な積み重ねの結果です。

農協を離れた日のこと。「自分の牛を知ってもらう」とはどういうことか

私が牧場に入った当初、出荷は農協を通じたものがすべてでした。自分の牛がいくらで売れたか、数値としては知ることができる。でも、誰がその肉を買い、どんな感想を持ったか——それを知る方法がありませんでした。

転機は、地元で少量を自分で販売する機会を得たことです。消費者から直接「この脂、全然くどくないね」「こんなに柔らかい肉は初めて」という声を聞いた瞬間、私は自分が育てた牛の価値を初めて「体感」しました。数値ではなく、言葉として。

その後、当時では珍しかった農協を離れ、銀行との取引を始めて自主出荷の道を切り開き、東京食肉市場への出荷契約を取り付けました。熟成焼肉Gyudo!を開店し、繁殖・肥育・加工・販売・飲食の六次産業化を実現したのも、「自分の牛の価値を直接届けたい」というその一点からです。

現在は鹿児島県薩摩郡さつま町で、肥育牛約1,100頭・繁殖牛約450頭・子牛約300頭、合計約1,850頭を飼育し、年間約600頭を出荷しています。アジア圏・EU・アメリカへも、「さつま福永牛」という名前で輸出しています。鹿児島黒毛和牛としてではなく、私たちの名前を冠したブランドとして。それが今の私の誇りです。

✓ ここまでのポイント

  • さつま福永牛の脂の融点13℃・MUFA値平均62%という数値は、飼料設計とアニマルウェルフェアの実践から生まれている
  • 農協出荷から六次産業化へ——「消費者に直接届ける」という意志が、牧場直営の焼肉店を生んだ
  • 一頭飼い→一頭売りの完全一貫経営だからこそ、希少部位まで無駄なく価値化できる

「日本一」という称号について、正直に話します

2013年、全国肉用牛枝肉共励会で名誉賞(最高賞)を受賞しました。そして2025年には全国肉事業枝肉共励会でグランドチャンピオンを獲得し、通算4度目となります。

この受賞を対外的に使うとき、私は少し慎重です。「日本一」という言葉は、使い方を間違えると自慢話に聞こえてしまう。でも、お客様の立場から考えると、この称号には実用的な意味があります。

接待で連れてきてくださった方が「日本一を獲った牧場の直営店です」と紹介してくださる。ギフトを贈った方が「2025年にグランドチャンピオンを獲ったところの肉だよ」と添えてくださる。その一言で、受け取った側の感動の質が変わります。食材に「語れる背景」があるかどうかは、食事や贈り物の体験を決定的に変えるのです。

TripAdvisorのレビューに、こんな言葉をいただいたことがあります。

「鹿児島で牛の畜産をやっている友人から紹介。都内でこれだけの肉なら2倍以上のお会計のはず。本当に連れてきてもらって良かった」

TripAdvisor・ご来店のお客様

この言葉が、すべてを言い表していると思います。品質の客観証明は、選んだ理由を語るための「根拠」になる。そしてその根拠が、人の心を動かします。

鹿児島・天文館という場所で、牧場直営を続ける理由

南九州最大の繁華街・天文館のど真ん中に店を構えて15年になります。センテラス天文館や鹿児島山形屋のすぐそばで、毎日のように地元の常連の方々、鹿児島を訪れる観光客の方々、最近ではクルーズ船で寄港された海外からのお客様も増えています。

正直なところ、天文館エリアは焼肉店の激戦区です。でも私たちが牧場直営を続けるのは、単純な理由からです。自分が育てた牛を、最もおいしい状態で提供できる場所が、自分たちの店だから。中間業者を挟まないことで、価格と品質の両方を誠実に届けられるから。

本店ではカジュアルに、ランチは1,870円からさつま福永牛を体験できます。子連れのご家族にも気兼ねなく来ていただけるよう、ベビーチェアを完備し、ベビーカーのままテーブルへご案内しています。一方、個室焼肉 牛道はなれでは、扉と壁で完全に仕切られた個室で、接待や記念日にふさわしい空間をご用意しています。

同じブランド・同じ牛で、日常使いからハレの日まで対応できる。それが、牧場直営であることの、もうひとつの強みです。

「鹿児島焼肉ランチNo.1。脂が苦手と伝えたら赤身セレクションに変えてくれた。¥2,000台でこのクオリティは驚き」

Retty・ご来店のお客様

SNSでは書けなかった、もうひとつの本音

最後に、正直な話を少し。

牧場経営は、天候・飼料価格・市況の変動に常に影響を受けます。「今年は飼料が高かった」「この時期は出荷頭数を絞った」という判断を、私は毎年繰り返しています。それでも品質の基準を下げないのは、一頭の命を預かっているという責任感から来ています。

MUFA値や融点の数値は、結果として出てくるものです。でも、その数値の背景には、牛舎で音楽を流しながら牛の様子を毎日確認するスタッフの手間があり、「炊き餌」を丁寧に準備する地道な作業があります。SNSに映える牧場の風景の裏には、見えにくいけれど積み重なったものがある。

鹿児島の生産者として、それを知っていただいたうえで、さつま福永牛を食べていただけたなら——その一皿の味が、少し違って感じてもらえるかもしれません。それが、この記事を書いた理由です。

まとめ:牧場から食卓へ、一頭の命を丸ごと

さつま福永牛は、鹿児島県さつま町の牧場から、天文館の店まで、一貫して私たちの手で届けています。受賞歴や品質数値は、私たちの35年近い積み重ねの結果であり、お客様が「選んだ理由を語れる」ための根拠でもあります。

鹿児島を訪れる機会があれば、ぜひ一度、天文館のGyudo!に立ち寄ってみてください。ランチの気軽な一枚でも、記念日の特別なコースでも、スタッフが産地・部位の話をご案内します。

ご予約・ご相談はお電話(0992232044)またはオンラインにて、いつでもどうぞ。
熟成焼肉Gyudo!ご予約<24時間受付>
個室焼肉牛道はなれご予約<24時間受付>

皆様のご来店をお待ちしております。

  • この記事を書いた人

gyudo-fukunaga

福永(株式会社牛道役員) 1級フードアナリスト・管理栄養士・日本箸教育講師・25年間の学校栄養教諭経験を経て、食品安全管理の知識と、現在の食肉業界での実務経験を活かし、消費者の皆様に安心・安全な食品選択のための情報を提供している。

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