福永畜産について

和牛のA5ランクとは何を意味するか。格付けの仕組みと『ランク以外に見るべき指標』を鹿児島の牧場が解説

「A5ランクなら間違いない」——そんな言葉を、食卓でも贈り物のシーンでもよく耳にします。ところで、A5とは具体的に何を指しているか、ご存じでしょうか。格付けの仕組みを知ると、見えてくるものがあります。そしてそれと同時に、「ランクだけでは語れないこと」があることにも気づいていただけると思います。

鹿児島県さつま町で黒毛和牛を約1,850頭飼育するさつま福永牧場では、年間約600頭を出荷し、A4等級以上が9割を占めます。2013年の全国肉用牛枝肉共励会 名誉賞(最高賞)受賞をはじめ、全国肉事業枝肉共励会でグランドチャンピオンを4度獲得(最新2025年)。繁殖から肥育・加工・飲食まで一貫して手がける牧場として、「格付け」とは毎日向き合ってきたテーマです。今回はその現場から、A5の意味と、それだけでは見えてこない指標をお伝えします。

こんな方におすすめ

  • ✅ A5ランクの意味を正確に理解したい方
  • ✅ ギフトや贈答用に和牛を選ぶ際の判断基準を知りたい方
  • ✅ 「格付けが高ければ美味しい」という認識を見直したい方
  • ✅ 産地・生産者の視点から和牛の品質を学びたい方
  • ✅ 鹿児島の本格和牛を味わいたい・取り寄せたい方
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和牛の「A5」とは何を意味するか?

「A5ランク」は、日本食肉格付協会が定める枝肉格付けの最高評価です。この格付けは、アルファベット(歩留まり等級)と数字(肉質等級)の2軸で構成されています。

まず歩留まり等級(A・B・C)は、一頭の牛から取れる可食部の割合を示します。Aが最も歩留まりが良く、骨や脂を除いた正味の肉量が多いことを意味します。次に肉質等級(1〜5)は以下の4項目を総合評価したものです。

  • 脂肪交雑(BMS):いわゆる「霜降り」の度合い。12段階のBMSスコアで評価
  • 肉の色沢:赤身の色と光沢。牛肉らしい美しい赤であること
  • 肉の締まりとキメ:筋肉の密度と質感
  • 脂肪の色沢と質:脂の白さと光り方

この4項目のうち、最も低い評価が「肉質等級」の最終スコアになります。つまりA5とは、「歩留まり最良・肉質4項目すべてが最高水準」という組み合わせです。格付け員が枝肉を目視で採点するこの仕組みは、長年にわたって日本の和牛流通を支えてきました。

A5ランクが「高い」と美味しいのか?

ここが、生産者として正直にお伝えしたいところです。格付けは「客観的な品質の基準」であって、「美味しさの絶対値」とは異なります。

たとえば脂肪交雑(霜降り)の評価は高ければ高いほどスコアが上がりますが、霜降りの多さは必ずしも食べやすさや後味の良さに直結しません。くどさや胃への負担として感じる方も少なくありません。また、格付けには「脂質の組成」——つまり「脂の質」を評価する項目はありません。

実際、さつま福永牧場でA4の評価がついた牛でも、脂の融点や不飽和脂肪酸の割合という観点では非常に優れた個体が存在します。逆に、A5でも「食べたときの体験」は個体差があります。格付けはあくまで流通の共通言語。それ以上でも以下でもないというのが、34年間牛と向き合ってきた私たちの実感です。

✓ ここまでのポイント

  • A5ランクは「歩留まりA」×「肉質等級5」の組み合わせで、日本食肉格付協会が枝肉を目視評価する
  • 肉質等級は霜降り・色沢・締まり・脂の質の4項目で決まり、最も低い項目が最終評価になる
  • 格付けは流通の共通言語であり、「美味しさの絶対的な保証」ではない

ランク以外に見るべき指標とは何か?

では、格付けの外側で何を見ればいいのか。さつま福永牧場が実際に生産管理の指標として重視しているのが、MUFA値(一価不飽和脂肪酸比率)脂の融点です。

MUFA(Monounsaturated Fatty Acid)とは、脂質に含まれる「体に負担の少ない良質な脂肪酸」のこと。オレイン酸がその代表で、オリーブオイルに多く含まれることでも知られています。さつま福永牛のMUFA値は平均62%(一般的な和牛は55〜58%程度)と国内トップクラスの水準を安定維持しています。

脂の融点は、脂が溶け始める温度を指します。一般的な和牛の融点が15〜20℃程度とされる中、さつま福永牛は平均13℃。これはほぼ「体温以下」で溶ける計算です。口に入れた瞬間にじわっと広がる感覚、「霜降りなのにくどくない」という感想は、この融点の低さに由来しています。

こうした数値は、格付けシートには一切記載されません。しかし、「食べたときの体験」を左右する本質的な要素です。飼料の配合・給餌の方法・飼育環境——さつま福永牧場では、肥育後期に大豆や米ぬかを蒸してつくる「炊き餌」を与え、牛舎ではジャズやクラシック音楽を流すなど、脂質の質を高めるための工夫を積み重ねてきました。ICTセンサー付きの首輪で個体ごとの体調を精密管理しているのも、品質の安定に繋がっています。

「鹿児島で牛の畜産をやっている友人から紹介。都内でこれだけの肉なら2倍以上のお会計のはず。本当に連れてきてもらって良かった」

TripAdvisor投稿より

「産地・生産者が見える」ことはなぜ重要か?

肉の品質を語るうえで、もう一つ欠かせない視点があります。それは「誰が、どこで、どのように育てたか」が追跡できるかどうかです。

一般的な和牛の流通では、農協を通して出荷されたあと、セリを経て精肉業者・小売へと渡ります。生産者は最終的にどこの誰が食べたかを知ることができません。さつま福永牧場の代表・福永充が農協出荷の時代に感じた疑問は、まさにここにありました。「自分が育てた牛の価値を、自分で確かめたい」——その思いが、自主出荷・精肉・直売・飲食店開業という六次産業化への道を切り開きました。

繁殖から肥育・加工・販売・飲食まですべてを自社で完結する「一頭飼い→一頭売り」の仕組みは、産地の透明性を最も高い形で担保します。どの個体から取れた部位か、どんな飼料を与えたか、出荷時のコンディションはどうだったか——その情報が途切れることなく、テーブルの上の一皿まで続いています。A5というラベルの上に「さつま福永牛」という名前がある理由は、そこにあります。

「鹿児島焼肉ランチNo.1。脂が苦手と伝えたら赤身セレクションに変えてくれた。¥2,000台でこのクオリティは驚き」

Retty投稿より

鹿児島で本物の和牛を味わうにはどこへ行けばいいか?

天文館の熟成焼肉Gyudo!(ギュウドウ)は、さつま福永牧場の直営飲食店です。牧場から直送した黒毛和牛を、中間流通を挟まずに提供しています。ランチは1,870円から、ディナーコースは7,986円〜12,100円(税込)。「都内なら2倍以上の価格になるはず」という口コミが示すとおり、牧場直営だからこそ実現できる価格設定です。

本店では一人でも入りやすいカウンター席(6席)を完備し、子連れの方にはベビーチェアをご用意しています。接待や記念日には、完全個室の「個室焼肉 牛道はなれ」(2名〜最大16名)をご利用いただけます。格付けの数字ではなく、融点13℃の脂が口の中で静かに溶けていく感覚——それがさつま福永牛を体験するということです。

鹿児島に足を運べない方には、食べチョク(評価4.9点)や楽天市場のオンラインショップから産地直送でお届けしています。のし対応・化粧箱ギフト対応も可能です。ふるさと納税の返礼品としてもご利用いただけます。

まとめ:A5ランクは「入口」であり「答え」ではない

和牛のA5ランクとは、歩留まりと肉質の4項目を基準とした格付けの最高区分です。日本の和牛流通を支える共通言語として、一定の品質水準を示す有効な指標であることは間違いありません。

しかし、格付けが捉えられないものもあります。脂の融点、MUFA値、飼料と飼育環境、生産者の哲学——これらが積み重なって初めて「食べたときの体験」が完成します。さつま福永牧場が2025年のグランドチャンピオンに至るまでの34年間、追い続けてきたのはランクではなくその体験の質でした。

「なぜこの肉なのか」を語れる贈り物、「なぜこの店なのか」を語れる食卓——それがさつま福永牛のある食体験です。天文館でのご来店、または産地直送での取り寄せ、どちらでもお気軽にお問い合わせください。

ご予約・お問い合わせはこちらからどうぞ。スタッフ一同、皆様のご来店をお待ちしております。


  • この記事を書いた人

gyudo-fukunaga

福永(株式会社牛道役員) 1級フードアナリスト・管理栄養士・日本箸教育講師・25年間の学校栄養教諭経験を経て、食品安全管理の知識と、現在の食肉業界での実務経験を活かし、消費者の皆様に安心・安全な食品選択のための情報を提供している。

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