なぜ私は牧場を継いだのか、天文館 焼肉店主が語る覚悟の物語

牧場のこと

先日、初めてご来店くださったお客様に、こんなことを聞かれました。

「牧場をやってるのに、なんでわざわざ店まで開いたんですか?」

ごもっともな疑問だと思います。牧場は牧場、飲食は飲食。普通はそれぞれ専門家がいる世界です。私がなぜ、その両方を抱えて走り続けているのか。今日は少しだけ、その話をさせてください。

こんな方におすすめ

  • ✅ Gyudo!の牛がどこから来ているか気になる方
  • ✅ 生産者の顔が見える食事にこだわりたい方
  • ✅ 天文館で焼肉店を選ぶ基準を探している方
  • ✅ 牧場直営とはどういうことか知りたい方
  • ✅ 鹿児島の和牛文化や生産背景に興味がある方
なぜ私は牧場を継いだのか、天文館 焼肉店主が語る覚悟の物語 | さつま福永牧場直営 熟成焼肉Gyudo!本店

一頭の牛から始まった、祖父の背中

うちの牧場の歴史は、1956年に遡ります。祖父が鹿児島県薩摩郡さつま町で、たった一頭の牛を手に入れたところから始まりました。

子どもの頃、牧場に行くたびに牛の鳴き声と草のにおいが混ざった空気を吸っていた記憶があります。祖父は口数の多い人ではありませんでしたが、牛の前に立つときの眼差しはいつも真剣でした。ただ育てているのではなく、向き合っている。子ども心にもそれが伝わってきたのを覚えています。

その牧場を父が引き継ぎ、そして私が継ぐことになりました。現在、繁殖牛・肥育牛・子牛合わせて約1,850頭を管理しています。一頭から始まったものが、ここまで大きくなった。それ自体が、ひとつの物語だと思っています。

「育てた牛がどう食べられているか、知らなかった」

牧場経営の長い年月の中で、ずっと引っかかっていたことがありました。

農協への出荷から始まり、やがて自主出荷・契約取引へと移行していく中で、私たちが丹精込めて育てた牛が、最終的にどんな場所でどんな状態でお客様の口に入っているのか、正直なところほとんど見えていませんでした。

ある時、知人を通じて自分の牧場の牛が使われた焼肉を食べる機会がありました。美味しかった。でも、何か物足りなかった。焼き方が惜しかったわけでも、お店が悪かったわけでも、たぶんない。ただ、「育てた人間として、もっとできることがあったのではないか」という気持ちが残ったんです。

牛は、屠畜されてからも適切な温度管理や最適な熟成を経て、正しく焼かれることで本来の旨味が引き出されます。繁殖・肥育に34年向き合ってきた私には、その「正しい扱い方」についての確信がある。だったら、その先まで自分でやるべきではないか。

それが、飲食店を始めるきっかけになりました。

✓ ここまでのポイント

  • さつま福永牧場は1956年に一頭の牛から始まり、現在は約1,850頭を管理する牧場へと成長してきた
  • 牧場主として長年出荷を続ける中で「育てた牛が最後まで大切にされているか分からない」という課題を感じていた
  • 繁殖・肥育から加工・提供まで一貫して担うことで、品質と想いを届けきることが店舗開業の原点

「一頭飼い」という言葉に込めた意味

私たちが大切にしているのは、「一頭飼い→一頭売り」という考え方です。

繁殖から肥育、加工・精肉、そして飲食提供まで、すべてを自社で完結させる。これを「垂直統合」と呼ぶ人もいますが、私にとってはそんな難しい話ではなく、「育てた牛を、自分たちの手で、最良の状態でお客様に届ける」というシンプルな責任感です。

Gyudo!本店でご提供する肉は、すべてさつま福永牛のみ。よそから仕入れることも、季節によって産地が変わることもありません。それはコスト面では必ずしも効率的ではないかもしれない。でも、それをやめる気持ちには今もなれません。

2013年・2019年・2023年・2025年と、全国肉用牛枝肉共励会でグランドチャンピオンをいただいてきました。受賞は嬉しいし誇りでもありますが、それよりも「ここに来れば間違いない」とリピートしてくださるお客様の声の方が、正直、ずっと励みになっています。

「ここの肉は何か違う、もう他では食べられない」

常連のお客様より

天文館で店を開いた理由、続けている理由

鹿児島市の天文館は、南九州最大の繁華街です。焼肉店もたくさんある。その中で店を開くことへの迷いがなかったといえば嘘になります。

でも、考えてみれば当たり前の場所でした。鹿児島の人が集まる場所で、鹿児島の牛を食べてもらう。観光で鹿児島を訪れた方にも、地元の方が誇りを持って連れてこられる店にしたい。その想いがあれば、競合がどれだけいても関係ない、という気持ちで開店しました。

今も、その気持ちは変わっていません。

スタッフには、肉の焼き方からお客様へのご案内まで、丁寧に伝えるようにしています。「焼き方、ご説明しましょうか?」という一言を自然に言えるスタッフがいる店でありたい。どれだけ良い肉でも、焼き方で台無しになることがある。そこまで含めて責任を持つのが、牧場から続く一本の線だと思っています。

「脂が苦手と伝えたら赤身セレクションに変えてくれた」

Rettyより

これからも、育てた牛を語れる店でいたい

牧場経営34年、飲食店を開いて15年。正直、楽なことばかりではありませんでした。牧場のこと、店のこと、どちらも中途半端にしたくないと踏ん張ってきた時間は確かにあります。

それでも続けてこられたのは、お客様の顔が見えるからだと思っています。農協に出荷していた頃には決して見えなかった「食べてくれている人の表情」が、今は目の前にある。それが何より、この仕事をしていてよかったと感じる瞬間です。

大切な記念日に来てくださるご夫婦、初めての鹿児島旅行で立ち寄ってくださった方、「今日は自分へのご褒美に」と一人でカウンターに座ってくださるお客様。それぞれの場面で、この牛が誰かの記憶に残る一皿になっているとしたら、祖父が一頭から始めた物語は、ちゃんと続いているんだと思えます。

これからも、育てた牛のことを語れる店でいたい。それが、私の覚悟です。


さつま福永牧場直営 熟成焼肉Gyudo!本店は、天文館通り駅から徒歩約2分、鹿児島市東千石町に構えております。ランチは11:30から、ディナーは17:30からご利用いただけます。

ご来店のご予約、記念日のご相談など、お気軽にお問い合わせください。スタッフ一同、皆様のご来店をお待ちしております。

📞 電話番号: 099-223-2044

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